
理学療法士の養成校での4年間
昨日は私の高校生のときの考えや決断、理学療法士の養成校に合格するまでのお話をさせていただきました。
本日は養成校での4年間のお話です。
昨日、「養成校の3年生の臨床実習までは理学療法士が本当に自分のやりたい職業なのか自分に合っているのかはわかりませんでした。」とお話しさせていただきました。
このような疑問を2年半抱いていたこともあり、全く勉強をしなかったので2年半の成績は最悪の状態でした。
現在は、この当時の成績を知っている養成校の先生には「違う人みたいだね」とか「良くここまで成長したね」など言われます。(笑)
なぜなら、1年生のときには1年間で5つの試験を落とし、進級判定会議にかけられてなんとか進級させてもらいましたが、成績は恐らく学年最下位でした。
一番辛かったのは英語の試験の再試験も落ちたこと。
現在も英語に対しては、苦手意識はありますが、研究者である以上、英語を読む、書く、聞く、話すは必須で、研究を仕事にする上で困らない程度(読む、書く)の英語能力は付いてきたと思いますが、それでもまだまだ他の研究者と比べると英語能力は足りていない状態です。
現在も英語でかなり苦労しています。
2年生のときに英語の先生と1対1でかなり簡単な長文の教科書を半年間かけて読んだことを覚えています。
現在は、このような1対1で教えてもらうのは、かなり有難い話であると感じますが、このときは面倒としか感じず、全然頭に入っていませんでした。
そして、2年生のときも4つの試験を落として、「このまま進級しても3年生で留年したり、国家試験で落ちたり、もし理学療法士になれたとしても楽しくないんだろうな」などネガティブなことばかり考えていました。
試験前も一夜漬けで、試験が終わればすぐに忘れるというただ試験に受かるためだけの勉強をしていました。
そして、なんとか3年生になりました。
3年生になった私の知識はというと、主要な筋の名前や起始・停止、神経支配や評価では、よく使う徒手筋力測定や関節可動域測定くらいで病名を聞いて、その病名に対する評価を立案するなど恐らくできていなかったと思います。
こんな状態で冬に3週間の臨床実習がありました。
今思うと、まったく知識も評価技術もない状態でよく3週間を乗り越えたと思います。
1年生は1週間の見学実習で、2年生は週に1回の評価実習でしたが、3年生の実習は一人の患者さんを担当させていただき、その患者さんの動作分析をして、動作分析の結果や病名から評価を立案して、評価をして、できれば治療も立案するという実習です。
そのため、1、2年でやってきたことがしっかりと身に付いているかを確認すること、4年生の総合実習に向けての大切な実習です。
私は中枢神経疾患の患者さんが多く病院に行きましたので、脳梗塞の患者さんを担当させていただきました。
この患者さんこそ、私が「このままではいけない」と思わせてくれて、理学療法士になりたいと思わせてくれた人でした。
この患者さんから言われた2つの言葉
- 君は素直だね。素直が一番だよ。どれだけ賢くなっても素直でいるんだよ。そして将来、立派な理学療法士になって俺のリハビリをしてくれよ。
- この職業は、患者さんから信頼されて、患者さんを笑顔にできる良い職業だね。
この2つの言葉を言われたときのリハビリ室の風景や患者さんの表情は今でも鮮明に覚えています。
この言葉を言われたとき、自分は患者さんから見たら素直かもしれない。
だけどその素直さは、自分のことだけを考えて、先生が言ったことを言われるがままに聞くだけの素直さであり、ただ実習に合格すれば良いとだけ考え、全く患者さんのことを見ていなかったことに気づかされました。
そして、人から(患者さんから)信頼されるためにはどうしたらいいのか?
自分中心ではなく、他者中心(患者中心)で考え、今自分に何を求められているのか、求められたことに対してどういう行動を取らないといけないのかを気づかせていただきました。
そして、理学療法士になって少しでもその人が望む生活ができるようにしてあげたいと思うようになりました。
この実習が終わってから4年生の総合実習まで3ヶ月しかありません。
私は自分のためではなく、実習で担当させてもらう患者さんのために勉強しようと考えるようになりました。
私は3ヶ月しかない中で解剖学と運動学を中心に基礎を復習し、評価や主な整形外科的疾患(骨折や変形性関節症)や中枢神経疾患について勉強しました。
それでも、2年半の勉強をこの3ヶ月程度で復習し、ただ復習するだけでなく、その内容を実習で生かせるところまでもっていくということはかなり困難でした。
しかし、実習先の先生や担当患者さんに恵まれていたこともあり、まだ知識や評価技術は不十分ながら有意義な総合実習を過ごすことができました。
総合実習が終わり、次は国家試験に向けての勉強です。
絶対に理学療法士になって一人でも多くの患者さんの生活を良くしたいと思えるようになっていました。
この総合実習が終わってから国家試験までの約7か月間は今までの分を取り戻し、皆に追いつき、追い越そうと必死に勉強しました。
国家試験の勉強で一番やって良かったと思う点はライバルを作る事。
私はクラスで一番賢い人を勝手にライバルと思い、最終的にこの人に勝つという目標を立てました。
最終的にその人には成績で勝てませんでしたが、その甲斐あってか最終的にAクラスに入ることができました。BやCクラスは土日祝日抜きで学校に来ないといけなかったので良かったです。
そして、国家試験も無事に合格する事ができ、理学療法士となることができました。
長々と書きましたが、ここで一番伝えたいことは、自己中心ではなく、どれだけ他者中心で考えられるかという事です。
勉強はもちろん大切です。
理学療法士として、医療従事者として最低ラインの知識や技術がないと患者さんが困ってしまいます。しかし、勉強は理学療法士や医療従事者になってからでもいくらでもできます。むしろ、なってからの方が勉強しないといけません。
それと同様に重要なことは、自己中心から他者中心で考えられるかを養うことだと思います。
なんのために勉強するのか、なんのためにテストを受けているのか、なんのために実習に行くか、なんのために国家試験を受けるのか。
すべては将来、理学療法士や医療従事者になり、患者さんの生活の質を少しでも高めるため。
自分が今何を求められているのか、それに対してどのような行動を取るべきか考え、実行することが患者さんや他の医療従事者との信頼関係を築き、より良い仕事ができると私は思います。