
新型コロナウイルス(COVID-19)について
今回は脳とはまったく関係ありません。
現在(2020年2月現在)、世界的に流行している新型コロナウイルスについて多くの論文が出ています。
私の専門分野ではないので私の見解などは言えませんが、新型コロナウイルスについて論文になっている情報を簡単にまとめたいと思います。
2019新型コロナウイルスとは一本鎖プラス鎖RNAウイルスでコロナウイルス(一般的な風邪のウイルス)の一種で、SARS関連コロナウイルスに分類されます1)。人に対して病原性があり、急性呼吸器疾患を引き起こす2)。
私が読んだ限りですが、以下に論文のタイトルとその内容について簡単にまとめました。
タイトル:Correlation of Chest CT and RT-PCR Testing in Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in China: A Report of 1014 Cases.
内容:現在、診断はRT-PCRというRNAを鋳型としてDNAを合成することで、逆転写により合成されたDNAをcDNAと呼びます。このcDNAを用いて陽性または陰性を判断しています。しかし、時間がかかる点がデメリットです。そこで胸部CTの診断値がRT-PCRの結果と一貫性があるかを調べています。武漢市に住む1014人を対象としました。
結果は1014人のうち59%(601人)がRT-PCR陽性であり、88%(888人)が胸部CTスキャンで陽性でした。しかし、RT-PCR陰性と診断された人でも75%(308人)の胸部CT所見が陽性でした。このRT-PCR陰性と診断された308人のうち48%は実は陽性の可能性が非常に高く、33%は陽性の可能性が高いケースであるとみなされました。
そのため、RT-PCR陰性と診断されても実は陽性であるケースが多く確認されています。
これらの結果から胸部CTはCOVID-19の診断に対して(RT-PCRよりも)高い感度であると言えます。また、RT-PCR検査は決して万能な検査ではありません。
タイトル:Time Course of Lung Changes On Chest CT During Recovery From 2019 Novel Coronavirus (COVID-19) Pneumonia.
内容:新型コロナウイルスに感染した21人の患者(男性6名、女性15名、年齢25-63歳)の胸部CTを約4日間隔で撮影し、CTスコアを観察した。結果は初期症状の発症から約10日でCTスコアがピークに達しました。つまり、胸部CTの肺の異常は症状の最初の発症から約10日後に最大の重症度を示しました。
タイトル:Incubation Period and Other Epidemiological Characteristics of 2019 Novel Coronavirus Infections with Right Truncation: A Statistical Analysis of Publicly Available Case Data.
内容:潜伏期間は95%の信頼度で2~14日間、平均で5日間であった。発症から入院(治療および隔離)までの平均時間は3~4日、検疫期間は少なくとも14日間必要である。
タイトル:Clinical findings in a group of patients infected with the 2019 novel coronavirus (SARS-Cov-2) outside of Wuhan, China: retrospective case series.
内容:浙江省で新型コロナウイルスの陽性反応が出た62名(年齢中央値41歳)に対して経過観察および症状を調査した。結果は、手中治療室に入院したのは1名のみで調査中(2020年1月10日~26日まで)に死亡した患者はいませんでした。症状は発熱(77%)、咳(81%)、痰(56%)、頭痛(34%)、筋肉痛または疲労感(52%)、下痢(8%)、喀血(3%)でした。入院時に息切れを発症した患者は2%でした。
タイトル:An update on the epidemiological characteristics of novel coronavirus pneumonia(COVID-19)
内容:平均潜伏期間は5.2日間、ほとんどの患者は臨床的に軽度の症状であった。症例の死亡率は2.38%で、基礎疾患を有する高齢男性は死亡リスクが高いことがわかった。
タイトル:Communicating the Risk of Death from Novel Coronavirus Disease (COVID-19).
内容:新型コロナウイルス(COVID-19)は一般人口の大部分が軽度の感染症ですが、若年成人の死亡リスクは季節性インフルエンザよりも高く、併存疾患のある高齢者は追加のケアが必要です。
タイトル:Understanding of COVID-19 based on current evidence.
内容:新型コロナウイルスの一部の患者の主症状は胃腸症状でした(上記の論文では8%)。そのため、糞口感染も十分に注意する必要があります。新型コロナウイルスはACE2受容体を介して腸内細菌と何らかの関係がある可能性があります。そのため、腸内細菌を標的とするウイルス関連治療の新しい治療の選択肢になる可能性が十分に考えられます。
タイトル:Management of corona virus disease-19 (COVID-19): the Zhejiang experience
内容:新型コロナウイルスの一部の患者では乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスが減少した腸内環境をもっていました。腸内微生物のバランスを調節し、二次感染のリスクを軽減させるために、栄養補助とプロバイオティクスの補給が提案されています。
退院した患者には2週間の隔離が必要であり、さらに定期的なフォローアップも必要でした。
タイトル:How long coronaviruses persist on surfaces and how to inactivate them (https://news.rub.de/english/press-releases/2020-02-07-medicine-how-long-coronaviruses-persist-surfaces-and-how-inactivate-them)
内容:ウイルスはドアノブや手すりなど温室で最大9日間感染し続ける。平均でも4~5日間は生き残れる。また、低温と高温室ではさらに生き残れる可能性がある。
消毒液を使用したテストでは、エタノール、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムに基づく薬剤がコロナウイルスに効果的であった。
参考文献
- Severe acute respiratory syndrome-related coronavirus: The species and its viruses – a statement of the Coronavirus Study Group.
- Coronavirus disease named Covid-19.