一般向けノート

美女と野獣カップルはどういう条件で成立するのか?

本日はリクエストいただいた心理学の研究紹介です。

タイトルは「美女と野獣カップルはなぜ存在するのか、どういう条件で成立するのか?」です。

一般的には同類交配が似ている者同士がカップルになることがわかっています。つまり身体的(顔など)、職業や社会的地位、心理的特性が似ている者とカップルになりやすいと言われています。しかし、美女と野獣(逆もあり)のカップルや夫婦が存在することは確かです。では、どういう条件が成立すれば美女と野獣カップルが成立するのかを科学的に証明した論文を紹介します。

タイトル:Leveling the Playing Field: Longer Acquaintance Predicts Reduced Assortative Mating on Attractiveness

著者:Lucy L. Hunt, Paul W. Eastwick and Eli J. Finkel

雑誌:Psychological Science. 2015;25(7):1046-1053

研究の背景

同類交配は多くの分野で研究されています。経済学者、人類学者、社会学者および心理学者らは交配プロセス(どのような経緯で付き合ったか、結婚したかなど)を研究しています。

これらの研究により、身体的(顔など)、職業や頭の良さ(IQ)、心理的特性が似ている者同士(同類交配)がカップルになる傾向があることがわかっています1,2)

本研究はカップルになる前の友人期間が同類交配とどのような関係があるかを調べました。

方法

・167組のカップルまたは夫婦(平均年齢31.7歳)の会話をビデオで撮像した。

・そのビデオを第三者に見せて外見を個別に採点した(-3(非常に魅力的ではない)~3(非常に魅力的))。また、個別採点した第三者とは別の第三者同士が話し合って外見を共同で採点した(1(まったく魅力的ではない)~7(非常に魅力的))。

・さらに自分の外見よりも上の外見の人と付き合える人の会話を分析した。

・また、質問指標にて知り合った期間と付き合っている期間を取得し、これら2つの項目の差から友人だった期間(付き合っていなかった期間)の長さの尺度として使用した。さらに現在の幸福度も調べた。

結果

友人だった期間は平均3.8ヵ月、中央値2ヵ月、標準偏差4.3ヵ月、範囲0~17.5ヵ月

・友人期間が長くなるカップルほど外見が一致する可能性が低くなり、逆に友人期間が短いカップル(特に1ヵ月以内)ほど外見が一致することがわかりました。すわなち、友人期間が長かったカップルほど美女と野獣のカップルが成立する可能性が高く、逆に友人関係が短かったカップルほど同類交配の可能性が高いことがわかりました(図1)。

図1:外見の魅力の尺度と友人の期間の相関関係

図1は外見の魅力の尺度と友人の期間の相関関係を示しています。縦軸が外見の魅力の尺度、横軸が友人の期間を示しており、実線が共同評価、点線が個別評価を示しています。

・自分の外見よりも上の外見の人と付き合える人の会話(美女と野獣カップル)と同類交配カップルの会話の内容に大きな差は認められませんでした。

・幸福度に関しては、見た目が同じカップル(同類交配)でも見た目が違うカップル(非同類交配)でも同じでした。

まとめ

・友人期間が短いカップル(すぐに付き合ったカップル)は外見の評価を重視し、友人期間が長いカップルは中身(性格)の評価を重視することがわかった。

・知り合って3ヵ月程度は外見を重視することが多く、3か月以降は中身の影響が大きくなってきます。すなわち、自分の外見よりも上の外見の異性と付き合いたければ、友人の期間は3か月以上が望ましいと考えられます。

参考文献

  1. Lutz, F. E. Assortative mating in man. Science, 1905;22:249–250.
  2. Lykken, D. T., & Tellegen, A. Is human mating adventitious or the result of lawful choice? A twin study of mate selection. Journal of Personality and Social Psychology. 1993;65:56–68.

投稿者

kengo.brain.science@gmail.com

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