
衝動買いをする人の特徴
今回は、人はどのような性格や心理状態で衝動買いをしてしまうのかを調べた研究を紹介します。
タイトル:Who Are the Scrooges? Personality Predictors of Holiday Spending.
著者:Sara J. Weston, Joe J. Gladstone, Eileen K. Graham, Daniel K. Mroczek, and David M. Condon.
雑誌:Social Psychological and Personality Science. 2019;10(6):775-782.
研究の背景
クリスマスやハロウィンなどのイベント時には多くの家でパーティなどが開かれます(アメリカの論文のため)。これらの時期の買い物の増加は経済にとって重要であり、マーケティングや経済学などの分野で広く研究されています1)。しかし、これらの時期の支出行動の変化の根底にある心理的要因は注目されていません。これらの時期は買い出しやパーティの準備などでストレスが増加する時期であることが多く、心理的ストレスが増加することが多く、心理的ストレスが自制心を低下させ、過剰な支出につながる可能性があります2)。
本研究の目的は、ホリデーシーズン(クリスマスシーズンの11、12月)の支出額と性格との関係性を調べました。
方法
・参加者は2133名(女性12%、男性44%、性別不明44%、年齢:37.47±11.89)
・参加者は12ヵ月間、毎月銀行口座の支出およびクレジットカードの明細書の提示が求められました。
・性格検査は「Big5」という多くの研究で使用されている検査をしようしました3,4)。このビッグ・ファイブ理論は図1の5つの特徴を検査することができます。

結果
休日の総支出と外向性と開放性の性格との間に正の相関が認められました。つまり、外向性や開放性が強いと支出が高くなります。また、総支出は神経症的傾向と負の相関が認められました。つまり、神経症的傾向が強いと支出が低くなります。
まとめ
・本研究では、ホリデーシーズンの支出額と性格との間に重要な関係があることがわかった。
・外向性と開放性の性格の人は神経症的傾向の人と比較して、他人の目や意見に縛られることなく、より自由にお金を使う傾向があります。逆に神経症的傾向の人は他人に失望されるプレッシャーや恐怖に縛られ自由にお金を使わない傾向にあると考えられます。
今回の研究紹介は、現在(2020年3月)のコロナウイルスの影響でティッシュやトイレットペーパーの衝動買いやイベントや旅行のキャンセル・自粛などと条件が異なるため直接的には関係はない(例えば、外向性や開放性の人はティッシュを衝動買いすることや他人の意見に影響されずにイベントや旅行のキャンセルをしないなど)と考えられますが、そのような傾向がある可能性はあると言えるのではないでしょうか。
参考文献
- Dinner, I. M., Van Heerde, H. J., & Neslin, S. A. Driving online and offline sales: The cross-channel effects of traditional, online display, and paid search advertising. Journal ofMarketing Research.2014;51:527–545.
- Fedorikhin, A., & Patrick, V. M. Positive mood and resistance to temptation: The interfering influence of elevated arousal. Jour- nal ofConsumer Research.2010;37:698–711.
- Goldberg, L. R. The development of markers for the big-five factor structure. Psychological Assessment.1992;4:26–42
- Rammstedt, B., & John, O. P. (2007). Measuring personality in one minute or less: A 10-item short version of the big five inventory in english and German. Journal ofResearch in Personality. 2007;41:203–212.