医療従事者・研究者用ノート

腰痛と足部の関係性

本日は、脳科学や心理学とは関係なく、腰痛と足部の関係性を示した論文紹介です。

また、私とは別にYoutubeで動画配信をしていただいておりますのでそちらも併せてご視聴ください。

タイトル:A systematic review: The effects of podiatrical deviations on nonspecific chronic low back pain.

著者:Colin B. O’Leary, Caroline R. Cahill, Andrew W. Robinson, Meredith J. Barnes and Junggi Hong

雑誌:Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation. 2013;26:117–123

目的

・腰痛の最も知られているメカニズムは、椎間靭帯の捻転または腰部への過度の負担または力がかかるため筋肉に負担をかけることが言われています。

・しかし、足部の不安定性やズレなどが腰痛の原因であることがいくつかの論文で報告されており、足部のバイオメカニクスの欠陥は、腰部を含むすべての支持関節に悪影響を与える可能性があると報告されていますが、足部の重要性は見過ごされています。

・また、足部の不安定性は腰痛以前に連続的な姿勢のゆがみ、筋肉の不均衡および脊椎関節の機能障害を引き起こす可能性も考えられます。

・この研究の目的は、腰痛に対する扁平足、過度の回内、脚長の不一致、矢状面の閉塞、足首の不安定性の影響に関する関連文献をレビューすることです。

方法

MEDLINE、PubMed、SPORTDiscus、Google Scholar、Worldcat Librariesのデータベースから「腰痛、装具、過度の回内運動、足のずれ、運動連鎖、リンク理論、足首の不安定性、足首の背屈、骨盤傾斜、および扁平足」などのキーワードを組み合わせて検索した。

結果

・全部で19個の論文が選択基準を満たしていた。

・これらの論文(19個)の結果は、過度の回内運動、四肢の不一致、骨盤の傾き、足首の不安定性、扁平足、外反母指が最も腰痛と関連していました。

・コントロール(腰痛無し)と比較して、腰痛を持つ人は扁平足の割合が有意に高いことがわかりました。

・異常または過剰な回内運動は、脚の長さの不一致に繋がり、その後腰痛を引き起こすリスクが高いことが示されています。

・足の種類(扁平足の有無など)に関係なく、解剖学的または機能的な脚の長さの不一致を持つ人は仙腸関節や骨盤が不均衡の可能性が高く、腰痛につながります。

・足部が機能的に不安定な人は、安定するまでの時間が長く、足部が機能的に安定している人よりも腰痛を発症する可能性が高い。

考察

偏平足

・複数の研究により、腰痛患者は偏平足の割合が高いことがわかりました。

・あるグループは97279人を対象にアーチの位置と柔軟性を基に偏平足がない、軽度、中等度、重度の4つに分類しました。結果として、軽度と比較して、中等度、重度の群は腰痛の有意な有病率が認められました。

・腰痛の原因の一因として、足が着地時に力を正しく分散できないために、アーチの縦方向の平坦化と強剛性(柔軟性がない)に起因することが考えられます。腰部に踵からの力が伝わり、痛みや機能不全を引き起こす可能性が考えられます。

足部の過度の回内

・足部の回内運動は、歩行の2つの重要な効果があります。1つ目が方向性トルクのトランスミッターとして機能し、脚の軸回転を吸収する効果、2つ目が体(足)が床と接触に反応する準備をします。両方の特性により、足に吸収される衝撃が軽減され、足が不均一な床(砂利道など)に適応できるようになります。しかし、過剰または過度の足部の回内運動は他の多くの筋骨格および神経学的問題を引き起こし、足部の領域にストレスおよび炎症を引き起こす可能性があります。また、過度の回内運動は、足部または足関節の構造的弱さによる可能性があります。

・ある研究では、腰痛がある97名を調査した結果、95名の被験者で足部の過度の回内が認められ、70名が腰痛と同じ側で過度の回内運動が認められました。しかし、この研究は腰痛がある患者を対象としており、腰痛がない(コントロール)群は対象にしていなかった。

・著者らは、過度の回内運動は、脚の長さの不一致または骨盤傾斜のいずれかを引き起こすと考察しています。

・ある論文では、過度の回内運動だけでなく、非対称の回内運動は、近位肢の非対称性を矯正するために過度の骨盤回転による腰痛の原因となりうることを考察しています。また、身体の片側が対側の機能不全を代償するために、この過剰回転が筋の不均衡を引き起こし、それが下肢の運動機能障害を引き起こすと考察しています。

脚長差

・脚長差がある場合、脊椎は身体のバランスを取り戻そうとするだけでなく、効率的な姿勢を維持し、機能的な脊柱の側弯を作ります。この側弯は腰部または仙腸関節の靭帯などにストレスがかかることで慢性腰痛につながります。

・脚長差は解剖学的脚長差と機能的脚長差に分類されます。解剖学的脚長差は一方の脚がもう一方の脚より長いまたは短いときに生じ、機能的脚長差は骨盤が傾いて、姿勢と歩行の両方で脚の長さに機能的な違いが生じます。

・また、機能的脚長差は動的と静的にわかれます。動的は骨盤傾斜が左右に変化すること、静的は骨盤傾斜が一定でないことです。動的な骨盤傾斜は腰痛には寄与しませんが静的な骨盤傾斜は腰痛の主な原因である可能性があります。

・また、足のタイプ(偏平足の有無など)に関係なく、解剖学的または機能的な脚長差がある人は仙腸関節や骨盤の不均衡のいずれかを持っています。

矢状面の閉塞

・足の矢状面の促進は、歩行中に効率的に機能する矢状面ロッカー、特に中足指節間関節の能力が重要です。歩行中にこれらのロッカーについて矢状面の動きが妨げられる場合、これは矢状面の閉塞として定義され、身体の他の部分に代償が起こることが予測されます。

足関節の不安定性

・足関節の不安定性は解剖学的不安定性、機能的不安定性および両方の3つに分類されます。解剖学的不安定性は、足関節の損傷などによる解剖学的変化、病理学的な変化、滑膜の変化および変形関節疾患で認められます。機能的不安定性は、神経学的と関連しており、運動障害などによる筋活動の変化が特徴です。

治療

・最も一般的な治療として、インソールなどを用いて矯正的に機能を補うことです。インソールを用いることで、過度の回内および脚長差が改善されます。

・ある論文では、過度の回内を抑制することで腰部と骨盤周囲の筋活動を変化させることが可能と示している。しかし、この筋活動の変化が腰痛に寄与するかどうかはさらなる調査が必要であると結論付けている。

・腰痛の治療は、他にもマッサージ、鍼治療、セルフケアも行われますが、これらの治療は痛みの原因である部分は治療せず、症状のみを治療します。これらの治療は症状に焦点を当てた対処療法でありますが、過度の回内や脚長差など病態の原因に焦点を当て、治療していく必要があります。

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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