一般向けノート

ダークチョコレートの効果

チョコレートに含まれているフラボノイド(ポリフェノールの一種)は脳血流を増加させ認知機能を向上させることができると言われています。このフラボノイドは特にダークチョコレートに多く含まれていることもわかっています。

本日紹介する論文はダークチョコレートを食べた2時間後に認知機能、特に記憶に焦点を当ててダークチョコレートの効果を調べている研究を紹介します。

タイトル:Beneficial Effects of Dark Chocolate for Episodic Memory in Healthy Young Adults: A Parallel-Groups Acute Intervention with a White Chocolate Control

著者:Daniel J. Lamport, Eleni Christodoulou and Christina Achilleos

雑誌:Nutrients. 2020:12(2);1-9

研究の背景

ダークチョコレートには多くの果実や野菜に含まれるフラボノイドと呼ばれる植物性の物質が含まれています(ポリフェノールの一種)。フラボノイドの摂取は健康上、多くの利点があると報告されています。最も多く言われている利点は、心血管への健康1)と認知機能の向上2,3)であると言わています。

たとえば、8週間から3か月の長期試験では、フラボノイドが豊富なココアを毎日摂取することにより健康な高齢者の記憶と運動機能が有意に向上したと報告されています4,5)。また、フラボノイド摂取直後の数時間の間は認知機能が向上するという報告6)や健康な若年成人でもフラボノイド摂取直後に視覚コントラスト感度や空間ワーキングメモリの向上7)や運動機能が向上8)することが報告されています。

しかし、これらの研究は市販されているダークチョコレートよりも高い濃度のフラボノイドを含むチョコレートドリンクやダークチョコレート(250~1000㎎)を投与しています(一般的に市販されているダークチョコレートは10gでフラボノイドは約40mg)。

そこで、本研究の目的は市販されている35gのダークチョコレートを摂取した2時間後にカロリーを一致させた低フラボノイドホワイトチョコレートと比較して認知機能に効果があるのかを調べました。

方法

・98名の健常成人(18~24歳の大学生、そのうち女性は57名)が参加しました。

・除外基準は薬物またはサプリメントを服薬している者、喫煙者、精神疾患または身体的な持病を持っている者とした。

・参加者は無造作に2つの群(ダークチョコレート群(カカオ70%)とホワイトチョコレート群)に分けられました。

・どちらも市販のチョコレートで、35gが203kcalでした。

・課題はRey’s Auditory Verbal Learning Task(AVLT)(図1)を使用した。この課題はエピソード記憶を反映している確立された課題です。

図1:Rey’s Auditory Verbal Learning Task(AVLT)

結果

図2はダークチョコレートとホワイトチョコレートの摂取前と摂取2時間後のAVLTの各試行(横軸)での想起された単語数(縦軸)を示しています。

結果はAVLTのすべての各試行でホワイトチョコレートと比較してダークチョコレートはパフォーマンス(記憶)が向上しました。

図2:ダークチョコレートとホワイトチョコレートの AVLTの比較

まとめ

・健康な若年成人において、ダークチョコレート摂取後2時間はホワイトチョコレートと比較して言葉による一時的な記憶が向上した。

・摂取後2時間の認知機能向上で考えられる要因としてはフラボノイドによる脳血流の増加が考えられます。以前の研究でも健康な高齢者がココアを飲んだ後6)や健康な若い女性がフラバノールドリンクを飲んだ後9)に脳血流に変化があったことを報告しています。特にこれらの報告では、記憶を司る海馬(歯状回)での脳血流量が増加したと報告しています。その他の研究でも大脳皮質や小脳などの他の領域でも脳血流が増加したという報告も存在します10,11)

・本研究から市販されているダークチョコレート(カカオ70%)の摂取は記憶だけでなく、過去の研究結果から視覚機能などの認知機能、運動機能、心血管機能、睡眠の質などさまざまな健康に有効であることがわかりました。

参考文献

  1. Rees, A.; Dodd, G.F.; Spencer, J.P.E. The effects of flavonoids on cardiovascular health: A review of human intervention trials and implications for cerebrovascular function. Nutrients 2018, 10, 1852.
  2. Scholey, A.; Owen, L. Effects of chocolate on cognitive function and mood: A systematic review. Nutr. Rev. 2013, 71, 665–681.
  3. Socci, V.; Tempesta, D.; Desideri, G.; De Gennaro, L.; Ferrara, M. Enhancing human cognition with cocoa flavonoids. Front. Nutr. 2017, 4, 19.
  4. Brickman, A.M.; Khan, U.A.; Provenzano, F.A.; Yeung, L.K.; Suzuki, W.; Schroeter, H.; Wall, M.; Sloan, R.P.; Small, S.A. Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults. Nat. Neurosci. 2014, 17, 1798–1803.
  5. Mastroiacovo, D.; Kwik-Uribe, C.; Grassi, D.; Necozione, S.; Raffaele, A.; Pistacchio, L.; Righetti, R.; Bocale, R.; Lechiara, M.C.; Marini, C.; et al. Cocoa flavanol consumption improves cognitive function, blood pressure control, and metabolic profile in elderly subjects: The cocoa, cognition, and aging (cocoa) study—A randomized controlled trial. Am. J. Clin. Nutr. 2015, 101, 538–548.
  6. Lamport, D.J.; Pal, D.; Moutsiana, C.; Field, D.T.; Williams, C.M.; Spencer, J.P.E.; Butler, L.T. The effect of flavanol-rich cocoa on cerebral perfusion in healthy older adults during conscious resting state: A placebo controlled, crossover, acute trial. Psychopharmacology 2015, 232, 3227–3234.
  7. Field, D.T.; Williams, C.M.; Butler, L.T. Consumption of cocoa flavanols results in an acute improvement in visual and cognitive functions. Physiol. Behav. 2011, 103, 255–260.
  8. Massee, L.A.; Ried, K.; Pase, M.; Travica, N.; Yoganathan, J.; Scholey, A.; Macpherson, H.; Kennedy, G.; Sali, A.; Pipingas, A. The acute and sub-chronic effects of cocoa flavanols on mood, cognitive and cardiovascular health in young healthy adults: A randomized, controlled trial. Front. Pharmacol. 2015, 6, 93.
  9. Francis, S.T.; Head, K.; Morris, P.G.; Macdonald, I.A. The effect of flavanol-rich cocoa on the fmri response to a cognitive task in healthy young people. J. Cardiovasc. Pharmacol. 2006, 47 (Suppl. S2), S215–S220.
  10. Datla, K.P.; Christidou, M.;Widmer, W.W.; Rooprai, H.K.; Dexter, D.T. Tissue distribution and neuroprotective effects of citrus flavonoid tangeretin in a rat model of Parkinson’s disease. Neuroreport 2001, 12, 3871–3875.
  11. Passamonti, S.; Vrhovsek, U.; Vanzo, A.; Mattivi, F. Fast access of some grape pigments to the brain. J. Agric. Food Chem. 2005, 53, 7029–7034.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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