一般向けノート

子供の知能を高める4つの方法

学業や人生の成功には知能(IQ)が重要であるという報告があります。

本日は子供の知能を高めると報告されているすべての論文をレビューし、その中で4つの方法が効果的であったと報告している論文を紹介します。

「Tech Kids Online Coaching」無料体験会 詳細・お申込みはこちら!

タイトル:How to Make a Young Child Smarter: Evidence From the Database of Raising Intelligence.

著者:Protzko J, Aronson J and Blair C

雑誌:Perspectives on Psychological Science. 2013; 8(1): 25-40.

学業や人生の成功には知能(IQ)が重要であるという報告がいくつかある1,2)。しかし、この知能を向上させるためにどうしたら良いのかが論争の的になっている。ある報告では1)、習い事などの介入によって知能を向上させることができるという意見がある。一方で、ある報告では2)、習い事などは意味がなく知能は自然に生活の中で向上していくものという意見がある。

本研究では、介入によって知能を向上させる因子を無作為化比較試験により行っている先行研究をレビューした。

本研究では、出生前から5歳までの幼児を対象とした実験からなる先行研究を調査した。

知能を向上させるような介入は74個あったが、メタアナリシス(複数の研究の結果を収集・統合し、統計的方法を用いて解析する方法)を可能にするのに十分な数の介入は4種類のみであった。

この4種類とは以下であった。

・出生前および出生後の母子への栄養状態

・子供が幼稚園に入る前の早期教育介入

・家庭での対話型の読書

・幼稚園の効果

以下にこの4種類について詳しく述べていく。

出生前および出生後の母子への栄養状態

知能と栄養状態を調べた研究は10個の研究があり、844名が対象であった。

ドコサヘキサエン酸(DHA)

DHAと知能を調べた研究では、授乳中の母親が1日に1,000mg以上のDHAを摂取しているまたは0.2〜0.5%の長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)が含まれた粉ミルクを与えていた新生児は幼児期に知能が高いことがわかった。

また、他の研究では鉄分やマルチビタミン、亜鉛などを補給して知能への影響を調べたが、影響はなかったと報告している。

早期教育介入

早期教育介入の目的は、幼児の知能を向上させることであるが、それと同時に社会性や自己調節能力の向上などを育成することでもある。早期教育介入により、知的統合性を促進し、より刺激的かつ認知的な要求が求められる環境に幼児を置くことで知能を向上させるとことが考えられる。

しかし、家庭環境や待機児童などにより早期に保育園などに入園させることが困難な場合も多い。そのような場合は無料で開放している施設での教育的介入(おもちゃで遊んだり本を読む、他の子供と遊ぶなど)の方が家庭での介入よりも効果的であると報告されている3)。つまり、多くの刺激がある環境が知能の向上の基礎となる主要なメカニズムである可能性が示唆される。

対話型の読書

子供の頃に本をよく読んでもらった子供とそうでない子供では知能に差があることが明らかになっている1)。このメカニズムの1つが認知的刺激の違いであり、子供が親と一緒に読書をした回数と本の数によって決定されると報告されている4)。これらの報告では、幼児が一人で読書すること自体は知能を高めないと報告している。つまり、親が子供に読み聞かせをすることで知能が高くなることを意味している。

しかし、この読み聞かせは4歳以上では効果がないと報告している。この結果は、幼児への読み聞かせは知能を高めているのではなく、ただ単に言語の発達を促進し、それがその時期の知能を高めているだけではないかとの考え方もできる。

幼稚園の効果

幼稚園の影響を調べている研究は39個あり、合計で7,370人の幼児に対して調査を行なっている。

これらの研究をまとめると幼稚園に通っている幼児は通っていない幼児と比較して知能が有意に向上しており、さらに幼稚園で言語の授業(日本であれば英語など)がある場合はさらに知能が向上していたと報告されている。

まとめ

・本研究は、幼児の知能を高める研究をレビューし、総合的にまとめたものである。

・その結果、幼児の知能を高めるためには4つの介入が重要であることがわかった。

・DHAなどの長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)を母乳または粉ミルクから摂取していた新生児は幼児期の知能を高めることがわかった。

・早期教育的介入による多くの刺激がある環境が知能を高めることがわかった。

・親が幼児への本の読み聞かせにより幼児の知能を高めることがわかった。

・幼稚園に通うことは知能を高めることがわかり、さらに言語の授業がある幼稚園ではさらに知能を高めることがわかった。

無料カウンセリング実施中

子供の成績の悩みはどの家庭でも同じです。成績が悪いのは「勉強のやり方」の問題かもしれません。

関連書籍

私たちは子どもに何ができるのか ? 非認知能力を育み、格差に挑む新品価格
¥1,584から
(2020/7/15 22:30時点)
学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす新品価格
¥1,584から
(2020/7/15 22:32時点)

参考文献

  1. Herrnstein, R. A., & Murray, C. (1994). The bell curve. New York, NY: Grove Press.
  2. Nisbett, R. E., Aronson, J., Blair, C., Dickens, W., Flynn, J., Halpern, D. F., & Turkheimer, E. (2012). Intelligence: New findings and theoretical developments. American Psychologist, 67, 130–159
  3. Bruer, J. T. (1999). The Myth of the first three years a new under- standing of early brain development and lifelong learning. New York, NY: The Free Press.
  4. Guo, G., & Harris, K. M. (2000). The mechanisms mediating the effects of poverty on children’s intellectual development. Demography, 37, 431–447.

投稿者

kengo.brain.science@gmail.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

骨格筋の収縮機序

2020年7月19日