
α運動ニューロンの生理学
今回の記事は“α運動ニューロン” の生理学について説明していきます。
前回の記事にも記載したように、骨格筋を収縮するには電気活動が必要なります。
したがって、それに対して脱分極、過分極、活動電位という言葉の理解が必要となります。
生理学の授業は、医学部の先生が非常勤で来られて講義をされる養成機関が多いかもしれません。また、理解に繋げるために心臓の生理学を中心に説明されることが多いと思います。
したがって、電気生理学の理解が療法士の学生に困難な状態に結びついているのではないでしょうか。
骨格筋でいう電気の流れは、脊髄前角細胞からのα運動ニューロンに活動電位が伝わってきます。一般的に、α運動ニューロンは神経線維の分類でいうAα群に含まれ、とても太い神経線維となります。凡そ直径で15-20μmほどで神経伝導速度は100m/secとなります。これは凄いことだと思います。読んで字の如く、1秒間に100mもの速さで電気興奮を伝えるということになります。
このAα線維は髄鞘があり、跳躍伝導を可能にします。この跳躍伝導も神経伝達速度を決めうる因子となります。
では、Aα線維とC線維は何が違うのでしょうか。これは髄鞘の有無で解答を求められるものと思います。但し、ここからもう少し深い理解に繋げていきましょう。
ギランバレー症候群のような脱髄疾患は、髄鞘が傷害を受けます。→したがって、髄鞘が無くなる→C線維と同じ構造になるのではないかと思いませんか?
国家試験では、おそらくこの部分まで問われるので解答ができれば良いと思いますが、次のステップを想定した際には、これだけでは、理解し難いのではないかと思います。
実は、学生の内に理解しておいた事柄として、“蛋白質の発現“というkeywordを理解しておく必要があるかと思いますが、実はAα線維では髄鞘と髄鞘の間(ランヴィエ絞輪)の部分にNaチャネル(電位依存性Naチャネル:Nav)が発現しています。したがって、このNavが興奮することにより、活動電位を発生することになります。これらより、髄鞘が傷害を受けた組織では、神経細胞が順序正しく興奮ができないということになりますよね。
次の章で神経筋接合部についてまとめます。
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