医療従事者・研究者用ノート / 一般向けノート

メールチェックの頻度とストレス

メールは私たちの生活になくてはならないものになっています。メールを頻繁にチェックすることがストレスの増加や幸福度の低下に繋がることが明らかになっています。しかし、メールチェックの頻度を減らせばストレスの軽減や幸福度の増加に繋がるかは明らかになっていません。

本日は、頻繁にメールをチェックしないことがストレスを減らし、幸福感を得ることができるのかを調査した論文を紹介します。

タイトル:Checking email less frequently reduces stress.

著者:Kushlev K and Dunn EW.

雑誌:Computers in Human Behavior. 2015; 43: 220-228.

研究の背景

毎日、1,830億通のメールが世界中で送受信されています1)。電子メールはオンラインで最も普及しているコミュニケーションツールの1つです。2011年の調査では、米国成人の92%がメールを使用してコミュニケーションを行っていると報告しています2)。2014年の調査では、米国成人の3分の1以上がメールを辞めて生活することは「非常に難しい」と述べています2)。また、ある調査によると、米国の労働者の約3分の1が仕事のメールを受診してから15分以内に返信し、4分の3が1時間以内に返信していると報告しています3)

しかし、高頻度のメールチェックは他の仕事を中断する必要があり、ストレスが増加することが明らかになっており、さらに幸福度にも悪影響を及ぼすと報告されている4)。しかし、メールチェックの頻度を減らすことがストレスの低下や幸福度の増加に繋がるかは明らかでない。

本研究の目的は、頻繁にメールをチェックしないことがストレスを減らし、幸福感を得ることができるのかを調査した。

方法

・被験者は124人の成人(女性:67%、平均年齢:30±10歳)でした。

・職種は約3分の2が学部生と大学院生、残り3分の1が医療従事者(医師、薬剤師など)、教育者(教授など)、財務系(金融など)、管理者(秘書など)を含むさまざまな業種でした。

・この実験には、普段から大量のメールを受信し、メールの管理方法に興味がある人を対象に募集されました。

・調査は2週間行いました。1週間はメールを頻繁にチェックする。もう1週間はメールをチェックする頻度を1日3回までに制限する。どちらを先に行うかはランダムで振り分けました。つまり、最初の週は頻繁にチェックし、最後の週は制限する群と最初の週は制限し、最後の週は頻繁にチェックする群に分けました。

測定(参加者への質問)

・1日のメールをチャックした回数

・ストレス度チェック、また、ストレスだけでなくその日の気分(ポジティブまたはネガティブ)、社会的な繋がり(誰と話したかなど)、仕事の質、睡眠の質など

結果

・メールチェックを無制限にした週は1日平均12.54±8.02回であった。

・メールチェック無制限条件と比較して、制限条件では、日々のストレスが有意に感じにくかった。このストレスの低下は、他の仕事中にメールに気が散ることが少なくなったこと、家族との時間にメールを気にせずにいられた意見が多く幸福感に繋がったとの意見が多かった。

・また、学生と社会人を比較した結果、学生はメールチェックに対するストレスが低いことがわかった。

まとめ

・本研究では、頻繁にメールをチェックしないことがストレスを減らし、幸福感を得ることができるのかという疑問を調査した。

・メールチェックの頻度を減らすとストレスが減少したことがわかった。

・具体的には、他の仕事中にメールをチェックし、返信しなければいけないというストレスが最も少なくなったことが大きかった。これらのストレスが少なくなるだけで1日のストレスが軽減し、ポジティブな感情や家族との時間などの幸福感と関連していた。

・今回の結果では、メールチェックの頻度を減らすとストレスが減少することがわかったが、逆にメールが気になってストレスが増加する人も中にはいる。そのため、誰でもメールチェックの頻度を減らすことがストレスの軽減に繋がることではないが、メールチェックを徐々に減らしていくことで日々のストレスの軽減に繋がり、幸福感に影響を及ぼす可能性がある。

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参考研究

  1. Radicati, S. & Levenstein, J. (2013). Email statistics report, 2013–2017.
  2. Pew Research Center (2011). Internet and American life project. Search and email still top the list of most popular activities: Two activities nearly universal among adult internet users.
  3. Kelleher, D. (2013). Confessions of an email user.
  4. Kushlev, K., Dunn, E. W., & Ashton-James, C. E. (2012). Does affluence impoverish the experience of parenting? Journal of Experimental Social Psychology, 48(6), 1381–1384.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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