
神経筋接合部
骨格筋の収縮(学生向けノート)もシリーズも第3回目となりました。
前の記事をご覧になられる方コチラからどうぞ。
第1回 骨格筋の収縮機序
第2回 α運動ニューロンの生理学
さて、前回は運動神経の活動電位発生について解説しました。
今回は、”神経筋接合部”について考えていきたいと思います。
第1回の時に“神経筋接合部”とは何かを考えました。
次は、生理機能について考えていきましょう。
先ず、α運動ニューロン(ニューロン=神経)が興奮し、神経筋接合部の神経末端までその電気的興奮が伝わると、電位が変化した事を神経終末にあるCaチャネル(電位依存性Caチャネル)に伝わることで興奮し、開口確立が上昇します。
この開口確立の上昇はCa2+を細胞外から細胞内へ移動させるので、細胞内のCa2+濃度が上昇します(細胞内のCa2+濃度上昇は生体にとって非常に重要なシグナルとなります)。
このCa2+濃度の上昇は、シナプス小胞をシナプス前膜の末端まで移動させることでシナプス小胞が開きます。神経筋接合部において、シナプス小胞の中にはアセチルコリン(ACh)が含まれており、これが放出される形となります。
このAChが骨格筋の中に直接入ることができれば良いのですが、これが困難なため受容体を介します。この時に出てくるのがACh受容体となります。
ACh受容体は、ムスカリン性とニコチン性の2種類の受容体がありますが、骨格筋にある受容体はニコチン性のものになります。さらにニコチン性には、筋型(M型)、神経型(N型)のものが存在します。
したがって、骨格筋に発現しているのは、M型ニコチン性ACh受容体となります。国家試験では、この問題が問われます。また、国家試験や模試ではGタンパク共役型受容体であると問われることがあります。これは、不正解になります。なぜなら、イオンチャネル型受容体だからです。
このイオンチャネル型受容体とは、AChのような生理活性物質がACh受容体と結合することにより、開口しイオンの流れを発生させるものを言います。
したがって、骨格筋でいうM型ニコチン性ACh受容体は、AChの結合により細胞外より細胞内に陽イオンを流入することで、骨格筋を脱分極します。この脱分極は、Naチャネル(電位依存性Naチャネル)を興奮させ、開口確立を上昇することで細胞外のNa+を細胞内へ流入し骨格筋細胞内の活動電位を発生します。国家試験や模試では、電位依存性Naチャネルが関与するといった設問がありますが、これは正しい解答となります。
ここまでが骨格筋細胞を興奮させるまでのメカニズムとなります。
この部分を理解して頂くと病態理解への繋がることになります。
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