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知能が高い人は朝型?それとも夜型?

仕事や勉強に集中できる時間帯はヒトそれぞれです。ヒトは遺伝子によってその人が朝型か夜型かが決まっていることがわかっています。つまり、朝型の遺伝子を持っている人は朝の方が集中しやすく、逆に夜型の遺伝子を持っている人は夜の方が集中しやすいということです。

この朝型か夜型かで知能に差があるという報告は現在では多く報告されています。

本日は、朝型か夜型かで知能に差があるということを示した最初の論文(大規模研究で)を紹介します。

タイトル:Why night owls are more intelligent.

著者:Kanazawa S and Perina K.

雑誌:Personality and Individual Differences. 2009: 47; 685–690 

研究の背景

単細胞生物からヒトを含む哺乳類まで自然界のほぼすべての種は、概日リズムと呼ばれる一日の活動サイクルを示します。このシステムによって生物は昼と夜の物理的環境の変化を予測して準備することができます。それによって生物が一日の適切な時間に「正しいこと(寝る、食べる、活動など)をする」ことができます1)

哺乳類の概日リズムは視床下部の視床上核と呼ばれる神経核によって制御されています2)。この視床上核を制御する遺伝子があり、この遺伝子は哺乳類の概日リズムを制御することが明らかになっています3)

ヒトではこの遺伝子の違いによって睡眠と覚醒のサイクルに個人差があり、朝早く起きて夜は早く寝ることを好むヒト(朝型)もいれば、逆のパターン(夜型)を好む人もいます。この朝型か夜型かで認知機能(知能)に差があることがわかってきました。以前の小規模な先行研究(n=420)では、夜型の方が朝型よりも有意に知能が高いことが明らかになっています。

本研究の目的は、大規模なサンプルで夜型の方が朝型よりも有意に知能が高いかどうかを調査することです。

方法

・被験者は14,310人のアメリカの中学生(52校)と高校生(80校)であった。

・朝型か夜型かは下記の質問により判断した。

 「学校または仕事がある日は何時に起きて、前日の夜は何時に寝ますか?」

 「休日の日は何時に起きて、前日の夜は何時に寝ますか?」

・知能(IQ)はPeabody Picture Vocabulary Test (PPVT)を用いて測定した。このテストはアメリカ英語の語彙の量を測定する言語的知能のテストであるが、言語的知性は一般知性と高い相関を示すことが明らかとなっているため、本研究ではPPVTを使用した4)

・IQは以下の5つに分類した5)

Very dull: (IQ< 75)

Dull: (75 < IQ< 90)

Normal: (90 < IQ< 110)

Bright: (110 < IQ< 125)

Very bright: (IQ> 125)

結果

・5つの分類したIQの人数が以下であった。

Very dull(IQ< 75):583人

Dull(75 < IQ< 90):2,965人

Normal(90 < IQ< 110):6,814人

Bright(110 < IQ< 125):3,480人

Very bright(IQ> 125):468人

・図1は5つに分類したIQと平日(図左)と週末(図右)との就寝時間を示しています。

図1

IQがBright(110 < IQ< 125)とVery bright(IQ> 125)の群は他の群と比較して平日も週末の就寝時間が有意に長かった。

・図2は5つに分類したIQと平日(図左)と週末(図右)との起床時間を示しています。

図2

IQがVery bright(IQ> 125)の群は他の群と比較して平日も週末の起床時間が有意に長かった。

まとめ

・本研究では、大規模なサンプルで知能が高いのは朝型か夜型かを調査した。

・夜遅くに就寝し、朝遅くに起床(夜型)の方が知能(IQ)が高いことが明らかとなった。この結果は先行研究と同様の結果であった。

・しかし、本研究では朝型か夜型かは質問指標のみで取得しており、遺伝子学的検査は行っていない。また、IQも言語的知能テストのPPVTのみで行っている点がこの研究の欠点である。

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参考文献

  1. Vitaterna, M. H., Takahashi, J. S., & Turek, F. W. (2001). Overview of circadian rhythms. Alcohol Research and Health, 25, 85–93.
  2. Klein, D. C., Moore, R. Y., & Reppert, S. M. (1991). Suprachiasmatic nucleus: The mind’s clock. New York: Oxford University Press.
  3. King, D. P., & Takahashi, J. S. (2000). Molecular genetics of circadian rhythms in mammals. Annual Review of Neuroscience, 23, 713–742.
  4. Miner, J. B. (1957). Intelligence in the United States: A survey – With conclusions for manpower utilization in education and employment. New York: Springer.
  5. Herrnstein, R. J., & Murray, C. (1994). The bell curve: Intelligence and class structure in American life. New York: Free Press.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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