医療従事者・研究者用ノート

パーキンソン病における安静時振戦メカニズムの4つの仮説

本日は論文内にある1つの図について詳しく説明していこうと思います。

本日はパーキンソン病における安静時振戦メカニズムの4つの仮説です。

パーキンソン病の安静時振戦は大脳基底核と小脳-視床-皮質回路が関与していることが脳イメージング、電気生理学、深部脳刺激の研究から明らかになっています1)。しかし、詳細なメカニズムについては明らかではありません。ここでは、4つのメカニズムの仮説を紹介します。

タイトル:Consensus Paper: Towards a Systems-Level View of Cerebellar Function: the Interplay Between Cerebellum, Basal Ganglia, and Cortex.

著者:Caligiore D, Pezzulo G, Baldassarre G, Bostan AC, Strick PL, Doya K, et al.

雑誌:Cerebellum; 16(1): 203-229.

上記の論文に記載されている図10の説明をしていきます。

その図がこちらになります。

第1の経路(図の青線)

視床下核は小脳-視床-皮質回路の求心性と遠心性の両方に関与しています。具体的には、一次運動野から解剖学的に直接入力を受け、橋核を介して小脳皮質に出力します。

パーキンソン病では、視床下核のグルタミン酸作動性ニューロンの活動が亢進し2)、これが橋核を介して小脳皮質に影響を与える可能性があることがわかっています3)。

このように視床下核は小脳に影響を及ぼし、小脳-視床-皮質回路の異常な活動を誘発するトリガーとして機能する可能性があります。

第2の経路(図の赤線)

大脳基底核と小脳-視床-皮質回路の両方が解剖学的に収束する運動野のレベルで相互作用している可能性があると報告されています4)

具体的には、淡蒼球内節はGABA作動性の投射を視床腹外側核前方に伝え、それが運動野に伝わります。さらに運動野から興奮性の投射を小脳からの投射も受けている視床腹外側核後方に伝わります。

このように淡蒼球内節から小脳-視床-皮質回路に影響を与える可能性があります。

第3の経路(図の緑線)

橋核はGABA作動性の投射を視床腹外側核後方に伝えます。

淡蒼球内節は橋核にも投射しており、橋核を介して視床腹外側核後方に影響し、小脳-視床-皮質回路に影響を与える可能性があると報告されています5)

第4の経路(図の黄線)

大脳基底核は末梢神経系を介して小脳-視床-皮質回路と相互作用すると報告されています6)

つまり、大脳基底核の影響による振戦により、小脳に伝達された振戦による体性感覚情報が小脳-視床-皮質回路と相互作用する可能性があります。

まとめ

結論として、大脳基底核と小脳-視床-皮質回路の経路のうち、どの経路がパーキンソン病の振戦に最も寄与しているかは明らかになっていません。

これらの疑問を解決していくためには、fMRIを用いたネットワークを統計的に比較する方法や計算モデル、動物モデルから検証していく必要があります。

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参考文献

  1. Helmich RC, Hallett M, Deuschl G, Toni I, Bloem B. Cerebral causes and consequences of parkinsonian resting tremor: a tale of two circuits? Brain. 2012;135:3206–26.
  2. Parent A, Hazrati LN. Functional anatomy of the basal ganglia. I. The cortico-basal ganglia-thalamocortical loop. Brain Res Rev. 1995;20:91–127.
  3. Bostan AC, Dum RP, Strick PL. The basal ganglia communicate with the cerebellum. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010;107(18): 8452–6.
  4. Hoover JE, Strick PL. The organization of cerebellar and basal ganglia outputs to primary motor cortex as revealed by retrograde transneuronal transport of herpes simplex virus type 1. J Neurosci. 1999;19:1446–63.
  5. Plaha P, Khan S, Gill SS. Bilateral stimulation of the caudal zona incerta nucleus for tremor control. J Neurol Neurosurg Psychiatr. 2008;79:504–13.
  6. Volkmann J, Joliot M, Mogilner A, Ioannides AA, Lado F, Fazzini E, et al. Central motor loop oscillations in parkinsonian resting tremor revealed by magnetoencephalography. Neurology. 1996;46:1359–70.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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