医療従事者・研究者用ノート

自由エネルギー原理

自由エネルギー原理とは、「いかなる自己組織化されたシステムでも、環境内で平衡状態であり続けるためには、そのシステムの自由エネルギーを最小化しなくてはならない」と定義されています。

本日は、自由エネルギー原理を提唱したFristonの論文の図を用いて私なりの解釈で運動について考えてみたいと思います。

タイトル:Perception and self-organized instability.

著者:Friston K, Breakspear M and Deci G.

雑誌:Frontiers in Computational Neuroscience. 2012; 6: 1-19.

上記に記載してある図が下記になります(図を改変)。

自由エネルギー原理とは、認識や行動についての適応理論であり、環境に対する予測可能性を上げるという原理によって、認識だけでなく行動も生成されるとする仮説に従った脳の理論です。

例えば、運動について考えてみると、一般的には何か運動をするときは運動野からは運動指令の信号を脳幹や脊髄へ出力することが知られています。

しかし、自由エネルギー原理では、運動とは「目標となる状態の自己受容感覚を予測信号とし、それが達成されるように反射弓を駆動させる」こととされています。

つまり、運動野から筋肉に伝えられるのは運動指令信号ではなく、目標となる姿勢の自己受容感覚であり、自己受容の予測であると示唆されます。

例えば、コップに手を伸ばす動作について考えてみます。

このときの運動の目標は、コップをつかんだ状態の自己受容信号です。

つまり、コップに手を伸ばしたときの関節や筋の自己受容感覚を予測し、手を伸ばす前の状態の感覚からその感覚になるまで手を伸ばすように予測信号を出して反射弓を駆動させていると考えることができます。

これの原理を支持する動物実験1)があり、この論文では、運動野の手のニューロンを刺激すると刺激前の手の位置がどこの位置であろうと同じ姿勢をとるという結果です。

つまり、この結果が意味することは運動野は手の最初の位置と最後の位置の差に対応する信号を出力しているのではなく、最初の位置から最後の位置の予測誤差を最小になるように信号を出力しているという考え方が自由エネルギー原理になります。

参考文献

Graziano M, Taylor C and Moore T. Complex Movements Evokedby Microstimulation of Precentral cortex. Neuron. 2002; 34: 841-851.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です