一般向けノート

親の感情が子供の感情に影響する

あなたは仕事などで嫌なこと(ストレス)があったとき、家庭でその嫌なことがあった感情を抑えるようにしていますか?それとも抑えないようにしていますか?

本日は、親のストレスが子供に影響するのかを調べた論文を紹介します。

タイトル:Supplemental Material for Keep It to Yourself? Parent Emotion Suppression Influences Physiological Linkage and Interaction Behavior.

著者:Waters SF, West TV, Karnilowicz HR, Mendes WB.

雑誌:Journal of Family Psychology. 2020:1-10.

研究の背景

幼少期に感情の自己調節を確立することは、それ以降の社会的適応、学業、精神疾患のリスクに影響するため重要であると考えられています1,2)。親は子供のさまざまな発達に大きな影響を与え、感情に着目した研究では、親自身の情動の状態を子供に伝えることで子供の情動に影響を与えることがわかってきています3,4)。例えば、自分の感情をコントロールすることがあまり得意でない親は、感情をコントロールすることが得意でない子供を持つ可能性が高いと報告されています5)。また、子供の感情の発達は母親の影響よりも父親の影響を受けると報告されているが6,7)、その逆の報告もあり8)、母親の影響が強いのか父親の影響が強いのかは一貫性がありません。

本研究では、父親と母親のストレス反応が子供に影響するのかを調べました。

方法

・被験者は108組の親子(父親:48%、平均年齢:40.8±6.3歳、男児:61%、8.7±1.4歳)でした。

・まず被験者の親子はベースラインの生理学的反応(心電図)を測定するために椅子に座り心を和ませるような音楽を聞かせました。また親にはTrier Social Stress Test (TSST)を用いて心理的ストレスを測定しました。

・その後、親と子供を別々の部屋に移動させた。親には2人の評価者(男女1名ずつ)の前で5分間のスピーチをさせ、その後、5分間の質問に答えさせるように求めました。このとき、評価者は頭を横に振る、腕を組む、険しい顔をするなど非言語的に精神的なストレスを与えるようにしました。その後、再度TSSTを行いました。

・親は子供と会う前に感情を抑制するように伝えられた群(感情抑制群)と感情を抑制せず自然に子供と接するように伝えられた群(コントロール群)に無造作に振り分けられました。

・親と子供は再会後に生理学的反応(心電図)を測定しながら、2種類の会話課題を行いました。

結果

・親は精神的なストレスを与えられる前後で有意にストレスが増加していたことがTSSTから明らかになりました。

・図1は親子間の心電図の影響を示しています。図1aは母親から子供への影響、図1bは父親から子供への影響、図1cは子供から母親への影響、図1dは子供から父親への影響を示しています。グラフの灰色は感情を抑制した群、縞模様は感情を抑制しなかった群を示しています。

図1

結果は、母親が感情を抑制することで子供に影響することが明らかになりました。一方で、父親が感情を抑制しても子供に影響することはなく、逆に子供から影響を受けることがわかりました。

まとめ

・本研究では、親のストレスが親子間の相互作用に影響を与えるかどうかを検証しました。

・母親が無理に感情を抑えた方が子供にその感情(ストレス)が伝わることがわかりました。

・そのため、仕事などで嫌なことがあった場合に家庭で無理にそのストレスを抑えるのではなくパートナーや子供にその感情を素直に伝えた方が良いと考えられます(感情をパートナーや子供にぶつけるのとは意味が違います)。

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参考文献

  1. Cicchetti, D., Ackerman, B. P., & Izard, C. E. (1995). Emotions and emotion regulation in developmental psychopathology. Development and Psychopathology, 7, 1–10.
  2. Graziano, P. A., Reavis, R. D., Keane, S. P., & Calkins, S. D. (2007). The role of emotion regulation in children’s early academic success. Journal of School Psychology, 45, 3–19.
  3. Waters, S. F., West, T. V., Karnilowicz, H. R., & Mendes, W. B. (2017). Affect contagion between mothers and infants: Examining valence and touch. Journal of Experimental Psychology: General, 146, 1043–1051.
  4. Waters, S. F., West, T. V., & Mendes, W. B. (2014). Stress contagion: Physiological covariation between mothers and infants. Psychological Science, 25, 934–942.
  5. Dix, T. (1991). The affective organization of parenting: Adaptive and maladaptive processes. Psychological Bulletin, 110, 3–25.
  6. Cabrera, N. J., Shannon, J. D., & Tamis-LeMonda, C. (2007). Fathers’ influence on their children’s cognitive and emotional development: From toddlers to pre-k. Applied Developmental Science, 11, 208–213.
  7. Shewark, E. A., & Blandon, A. Y. (2015). Mothers’ and fathers’ emotion socialization and children’s emotion regulation: A within-family model. Social Development, 24, 266–284.
  8. Ekas, N. V., Braungart-Rieker, J. M., Lickenbrock, D. M., Zentall, S. R., & Maxwell, S. M. (2011). Toddler emotion regulation with mothers and fathers: Temporal associations between negative affect and behavioral strategies. Infancy, 16, 266–294.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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