
冠動脈の血流調節
シリーズ第2回目は、冠動脈の血流調節についてまとめます。
冠動脈の血液量は、シリーズ第1回に記載してあります。
心筋は酸素代謝量が高いため、多くの血流量を使用します。
したがって、血管拡張能も要する事になります。
血管拡張には、一酸化窒素(Nitric oxide:NO)というガスメディエーターの働きが必要不可欠です。このNOは、血管の最内層に存在する内皮細胞より生成されます。
冠動脈においては、このNOの機能により豊富な血流量の維持に寄与していることは明らかになっており、さらには内皮型NO合成酵素(endothelial NO synthase inhibitor:eNOS)阻害薬を用いる事で血流量は大幅に減少することがわかっています。
したがって、心臓の仕事量に依存して血流量は増加することや、さらに心臓への負荷の増加に伴い酸素抽出率の概念も念頭におく必要があります。
冠動脈は大動脈から分岐していることより、心臓からの血液の駆出により血流調節されています。
冠動脈への血流量低下は、心臓への負担も増加することから、ある程度一定に保持される必要があることも特性の1つとして理解しておいても良いかと思います。
次回は、冠動脈の狭窄により生じる病態について説明します。
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