
変形性膝関節症のマウスモデルにおける運動量の変化
タイトル:Locomotor activity and histological changes observed in a mouse model of knee osteoarthritis.
著者:Satoshi Kojima, Masanori Watanabe, Keiji Asada.
雑誌:J Phys Ther Sci. 2020; 32(6): 370–374.
今回のブログでは、変形性膝関節症にまつわる基礎実験の報告について掲載させて頂きます。変形性膝関節症は、臨床現場でもよく担当する事が多いのではないでしょうか?
この実験では、変形性膝関節モデルのマウスを用いて、それらの組織学的所見と運動量を観察したもので、変形性膝関節症のマウスモデルにおける運動量の変化を明らかにすることを目的としています。
ここまでの内容で個人的な感想としては、変形性膝関節症関連の論文を網羅しているわけではないですが、器質的な変化を見た研究はあると思いますが、行動学的変化を追跡調査した研究は少ないことに対して、意外とリハビリテーション的な概念が乏しい事に驚いています。
さて、変形性膝関節症は、加齢や肥満、機械的ストレスが関与する疾患ということが知られており、日本人の40歳以上の患者数は3,000万人を超えているとの事です。
本論文では、運動量の変化が変形性膝関節症の進行に影響すると仮定した際に、組織学的所見に加えて活動量を調べる必要があるものと考えられ、本研究を実施したとのことです。
20週齢のICRマウス雄性マウスを用いて、コントロール群(Con群)と変形性膝関節症(OA群)モデルに分けました。このOA群は、麻酔下で外科的に半月板を不安定とすることで作成した。
外科的処置としては、膝蓋靭帯の内側から関節包、内側膝蓋支帯、内側広筋を縦に1cm切開し、膝蓋骨を側方に反転させて膝関節を開いた。その後、内側半月脛骨靭帯を切開し、半月板不安定モデルを確立しています。OA群は、外科手術後8週間の正常飼育によりOAを誘発した。
運動量は、infrared locomotor activity measurement deviceを用いて、8週間、1時間毎に測定しました。また、左膝関節を用いて組織学的に検討しています。
その結果、運動量はOA群で術後2週間まで減少しました。一方で、3週間以降は同様の運動量となっています。また組織学的所見においても、OA群では、内側大腿部の象牙質化、脛骨内側部のフィブリル化と亀裂を認めたとの事です。
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