
半側空間無視の机上評価の注意点
半側空間無視の机上評価では、机上評価の結果と日常生活の無視の程度に乖離が生じることが言われていたり、実際に経験される方も多いと思います。
この原因としては、さまざまなことが言われていますが、本日は評価者の環境設定により乖離が生じてしまう1つの原因を説明したいと思います。
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タイトル:Head and trunk orientation modulate visual neglect.
著者:Schindler I and Kerkhoff G.
雑誌:NeuroReport. 1997;8(12):2681-2685.
この論文では、半側空間無視患者に対して、図1のように5つのポジションでLine bisection taskとReading taskを行いました。

結果は、①番の体幹も頭部も正中位、③番の体幹は右回旋位、頭部は正中位、⑤番の体幹は正中位、頭部は右回旋位のポジションでは、Line bisection taskは右側に印をしたと示しています(図2)。

これは、左半側空間無視の判定になります。
一方で、②番の体幹は左回旋位、頭部は正中位、④番の体幹は正中位、頭部は左回旋位では、Line bisection taskは左側に印をしたと示しています(図3)。

これは左半側空間無視ではない判定になります。
例えば、入院時(初回の評価)は体幹も頭部も正中位(①番)で評価して半側空間無視と判断したとします。
しかし、もし中間評価や退院時評価の時に体幹や頭部が左回旋位(②または③番)で評価した場合は、実は半側空間無視は改善していないのに半側空間無視は改善しているという結果になることも十分考えられます。
つまり、机上評価と日常生活の乖離を評価者が作り出している可能性も十分にあるということを考えないといけないということになります。
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