医療従事者・研究者用ノート / 一般向けノート

実年齢と主観的年齢

自分は実年齢より若いと感じているでしょうか?それとも歳を取っていると感じているでしょうか?これは主観的年齢と呼ばれています。

本日は、この主観的年齢が①現在と4年後でどう変化するのか、②年齢によって主観的年齢に違いはあるのか、③将来に対する期待または不安によって将来の主観的年齢を予測できるのかを調べた研究を紹介します。

タイトル:Subjective Age Across the Life Span: A Differentiated, Longitudinal Approach.

著者:Kornadt AE, Hess TM, Voss P, Rothermund K.

雑誌:Journals of Gerontology. 2018;73(5):767-777.

研究の背景

私たちは24時間という皆同じ時間の中で生きている。そして1年に1歳の年齢を皆が重ねる。しかし、加齢に対する主観的な認識は皆が同じではない。50歳、60歳になってもまだまだ若いと感じる人もいれば、そうでない人もいる。このように実年齢に比べて若い、歳を取ったと感じることを主観的年齢と呼ばれている1)

近年では、この主観的年齢と自己形成、健康維持などのさまざまな機能との関係性が研究されてきている。例えば、主観的年齢が若い人は、ポジティブな人格形成に寄与すること2)や高齢で主観的年齢が若い人は認知機能の向上3,4)、さらに死亡率が低下5)することが報告されている。

しかし、主観的年齢の時系列変化や年代別で主観的年齢が異なるかは明らかでない。

本研究は、①現在と将来の主観的年齢に違いがあるのか、②年代別で主観的年齢に違いはあるのか、③さらに、将来の主観的年齢を予測する因子を調べた。

方法

・被験者は30-80歳の593名(女性49.9%)であった。

・被験者には2回(実験参加時と4年後)の質問紙による調査を行った。

・質問紙の内容は「家族」、「友人」、「自由時間」、「性格」、「金銭面」、「仕事」、「健康」の7つについて質問した。また、質問は5段階の尺度で評価した。

・主観的年齢を算出するために比率スコア((年齢を基準にしてどれだけ若く感じているか−実年齢)/ 実年齢)を算出した。この数値が負であるほど主観的年齢が若い(若く感じている)ということになる。

・また、被験者を30-49歳は若年グループ、50-65歳を中年グループ、66-80歳を高齢グループに分けて比較した。

・また、実験参加時に将来(4年後)の自己評価が、その後(4年後)の主観的年齢の変化を予測できるかを交差的時間差分析という2変数間の因果関係の時間的順序を調べた。

結果

・図1は実験参加時 (T1)と4年後 (T2)の主観的年齢を示しています。

図1

金銭面、仕事、健康で実験参加時と比較して4年後で有意差があり、主観的年齢が若かった。

・図2は3つのグループでの比較を示しています。

図2

若年者グループと比較して中年者グループと高齢者グループはどの項目も有意差が認められた。性格、金銭面、仕事で中年者グループと比較して高齢者グループで有意差が認められた。つまり、歳を重ねるほど主観的年齢は若くなることがわかった。

・また、実験参加時に将来(4年後)の自己評価は、その後の主観的年齢の変化を予測することが可能であることがわかった(論文中に結果の表あり)。

将来に対して不安・否定的な自己評価をした人は主観的年齢の増加と関連しており、特に中高年グループで高齢になることへの不安に対して主観的年齢の増加と関連していた。

まとめ

・本研究では、①現在と将来の主観的年齢に違いがあるのか、②年代別で主観的年齢に違いはあるのか、③さらに、将来の主観的年齢を予測する因子を調べた。

・人は時間の経過(年を重ねる)とともにまだ若いと感じる人が多い一方で、現時点で将来に対して不安がある人は将来の主観的年齢が増加することが明らかになった。

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参考文献

  1. Barrett, A. E., & Montepare, J. M. (2015). “It’s about time”: Applying life span and life course perspectives to the study of subjective age. Annual Review of Gerontology and Geriatrics, 35, 55–77. doi:10.1891/0198-8794.35.55.
  2. Stephan, Y., Sutin, A. R., & Terracciano, A. (2015b). Subjective age and personality development: A 10-year study. Journal of Personality, 83, 142–154.
  3. Schafer, M. H., & Shippee, T. P. (2010). Age identity, gender, and perceptions of decline: Does feeling older lead to pessimistic dis- positions about cognitive aging? The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, 65, 91–96.
  4. Stephan, Y., Caudroit, J., Jaconelli, A., & Terracciano, A. (2014). Subjective age and cognitive functioning: A 10-year prospective study. The American Journal of Geriatric Psychiatry, 22, 1180– 1187.
  5. Westerhof, G. J., Miche, M., Brothers, A. F., Barrett, A. E., Diehl, M., Montepare, J. M.,Wurm, S. (2014). The influence of subjec- tive aging on health and longevity: A meta-analysis of longitudinal data. Psychology and Aging, 29, 793–802.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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