
クリスマス気分の脳活動
明日はクリスマスということで本日はクリスマスに関連した論文を紹介したいと思います。
子供の時からクリスマスパーティをしてきたグループとそうでないグループに分けて、クリスマスに関連した画像を見せたときの脳活動の違いを調べた研究を紹介します。
タイトル:Evidence of a christmas spirit network in the brain: Functional MRI study.
著者:Hougaard A, Lindberg U, Arngrim N.
雑誌:BMJ. 2015;351:1-6.
研究の背景
クリスマスは一般的には歓喜やプレゼント、楽しい、大量の美味しい食べ物などを連想させるものとして何世紀にも渡って全世界で盛り上がるイベントです。しかし、この「クリスマス気分」が脳内のどこに存在し、どのような生物学的メカニズムが関与しているかは明らかではありません。
本研究の目的は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、ヒトの脳内の「クリスマス気分」を局在化することです。
方法
・被験者は子供の頃から毎年自宅でクリスマスパーティをしたことのある健常者10名(クリスマスグループ)とクリスマスパーティをしてこなかった健常者10名(非クリスマスグループ)であった。
・図1のクリスマスに関連した画像とそうでない画像を交互に見せながら、fMRIを撮像した。

結果
・図2はクリスマスに関連した画像を見たときのクリスマスグループと非クリスマスグループでの脳活動の違いを示しています。

クリスマスグループでは左一次運動野、左運動前野、右下・上頭頂小葉、両一次体性感覚野領域の活動が有意に増加していました。
また、非クリスマスグループはクリスマスグループよりも活性化している領域は認められませんでした。
まとめ
・本研究はクリスマス気分をfMRIを用いて局在化することです。
・結果は、クリスマスグループは運動野、体性感覚野、ミラーニューロンに関連する下頭頂小葉および運動前野が活動していることがわかりました。
・クリスマスを連想させることにより自己と他者(家族や愛する人)との食事や喜びの感情を体験(想起)させるためにはミラーニューロンが働く必要がある1)。そのため、クリスマスグループではミラーニューロンが関連する領域である下頭頂小葉や運動前野の活動が認められたと考えられます。
・また、これらの活動はクリスマスに関連したことのみではなく、例えばハロウィンなど他のイベントでも活性化する可能性があります。
参考文献
Balconi M, Bortolotti A. The “simulation” of the facial expression of emotions in case of short and long stimulus duration. The effect of pre-motor cortex inhibition by rTMS. Brain Cogn 2013;83: 114-20.