一般向けノート

やる気を低下させない方法

前回はやる気を低下させる原因として、アンダーマイニング効果について説明しました。本日は、やる気を低下させない方法について説明したいと思います。

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タイトル:Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance.

著者:Mueller C and Dweck C.

雑誌:Journal of Personality and Social Psychology. 1998;75(1):33-52.

前回はアンダーマイニング効果について説明しました。

アンダーマイニング効果とは、内発的動機づけ(自ら勉強したい、業績を上げたい)から得られる喜びや満足感を外発的動機づけ(金銭報酬など)によって損なう可能性があることを言います。

つまり、自ら勉強や仕事に対してやる気があるのに、そこに金銭的な報酬を与えてしまうと勉強や仕事の目的が報酬を貰うことに変化することでやる気が低下してしまうことになります。

では、やる気を低下させないためにはどうしたらいいのか?

結論から言うと、言語的な報酬に加えて、過程を褒めることでやる気が向上する可能性があることがわかっています。

つまり、結果ではなく、努力を言葉で褒めることが重要であるということになります。

これは「エンハンシング効果」と呼ばれています。

以下に簡単にどのような実験によって、努力を褒めることがやる気に繋がるかを証明した実験を紹介します。

方法

・被験者は10-12歳の128名(女子:70名、男子:58名)でした。

・この128名全員に中等度の難易度のテストをさせました。

そして、128名全員に「テストは8割以上の点数であった」と報告しました(8割以下の点数でも)。

ここから128名を3つのグループに分けます。

グループ1:「本当に頭がいいね」と伝え、結果を褒めるグループ

グループ2:「努力した甲斐があったね」と伝え、努力(過程)を褒めるグループ

グループ3:何も褒めないグループ

そして、この3つのグループに難易度の高い問題を再度解いてもらいました。

テストが終わった後、次は全員に成績がかなり悪い、5割以下の点数であったことを伝えました。

その後、3回目のテストを行いましたが、テストの難易度を各被験者に選択してもらいました。

テスト1:難易度は高いが、やりがいのある問題

テスト2:簡単な問題

結果

・「本当に頭がいいね」と伝え、結果を褒めるグループ1は65%が簡単な問題を選択し、8%が難易度の高い問題を選択しました。

・一方で、「努力した甲斐があったね」と伝え、努力(過程)を褒めるグループ2は10%が簡単な問題を選択し、90%が難易度の高い問題を選択しました。

・また、何も褒めないグループは45%が簡単な問題を選択しました。

まとめ

・エンハンシング効果とは、言葉で褒めることで相手の自発的なやる気を高める心理現象です。

・また、結果(知能)を褒めるよりも努力(過程)を褒めることが重要であることがわかっています。

・むしろ、結果(知能)を褒めることで、困難な課題に直面した時に挫折する可能性があることが示唆されています。

投稿者

kengo.brain.science@gmail.com

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