医療従事者・研究者用ノート / 一般向けノート

好きな人に告白する前から緊張するのはなぜか?

私たちは大事な発表の前や発表をしている場面を考えた時、あるいは好きな人に告白する前からドキドキする(血圧や脈拍が上昇する)。

普通に考えたら、発表している時や告白する時点で血圧や脈拍が上昇したら良いはずなのに、なぜそれらをする前から上昇するのか?

本日はこの現象についてホメオスタシスとアロスタシスに着目して説明します。

タイトル:Allostasis: A model of predictive regulation.

著者:Sterling P.

雑誌:Physiology and Behavior. 2012;106(1):5-15.

一般向けの内容

私達は寒い日も暑い日も体温は約36〜37度に保たれています。そして血圧や脈拍も一定に保たれています。もし、体温が36〜37度より低くなれば身体は体温を上げ、高くなれば体温を低くし、運動によって血圧や脈拍が上がれば下げようとします。これは、私達の身体の状態が一定になるように制御する仕組みがあるからです。これは「ホメオスタシス:恒常性」と呼ばれています。

一方で、本日のタイトルである好きな人に告白する前から緊張したり、大事な発表前に緊張することを経験した人がほとんどだと思います。

なぜ、これらをする前から緊張するのか?普通なら告白している時、発表している時だけ緊張したら良いのにと思ってしまいます。

この理由は、告白している時、発表している時に急激な身体の乱れ、つまり急激なホメオスタシスの乱れを防ぐための身体の防御反応であることが明らかになっています。

つまり、身体は緊張状態を予測して前もってその緊張状態の血圧や脈拍にすることで身体を慣れさせるためにこのような反応が起こることが明らかになっています。これは「アロスタシス」と呼ばれています。

専門向けの内容

ここからは少し専門向けの内容になります。

ホメオスタシスは、体温や血圧、脈拍を一定に保つということから誤差をゼロにする制御が働いているということになります。

つまり、「負のフィードバック制御」が働いています。

この負のフィードバック制御は脳幹と血管や内臓の間にあるホメオスタシス反射弓と呼ばれるループで制御されています。この反射弓は特に延髄を介して心拍や呼吸などの生命維持に重要な領域で制御されています。

一方で、アロスタシスは前頭葉の前帯状皮質からフォン・エコノモニューロンと呼ばれるニューロンが視床下部を介して信号が伝達されることが明らかになっています(図1)。

図1

この信号は内臓状態に関する予測信号であり、脳幹ではこの予測信号と実際の内臓状態を比較して予測誤差を計算し、この誤差信号を内臓に送ることにより血圧や脈拍を変化させることが明らかになっています。

また、前帯状皮質から前島皮質にも視床下部に送られた同じ信号のコピーが送られます。前島皮質では、この感覚予測信号と内臓からの感覚信号を比較して予測誤差を算出し、それに基づいて内臓状態の推論が書き換えられ、内臓状態が知覚されることになります。

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投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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