
幸福度は何で決まるのか?
お金持ちは本当に幸せなのか?逆にお金がないと不幸なのか?
本日は客観的社会地位(お金、学歴)および主観的社会地位(どの社会階層に属するか)と幸福度の関係性を調べた研究(レビュー)を簡単に紹介します。
タイトル:The association between objective and subjective socioeconomic status and subjective well-being: A meta-analytic review.
著者:Tan J, Kraus MW, Carpenter NC, Adler NE.
雑誌:Psychological bulletin. 2020; 146(11): 970-1020.
研究の背景
一般的にお金持ちの方が幸福度は高いと思われている方が多いのが現状です。しかし、多くの研究でお金持ちと幸福度の関連性は低いということが報告されています1,2)。つまり、お金持ちだから必ずしも幸福度が高いというわけではないことを意味しています。
しかし、社会的地位は客観的社会地位(収入や学歴)と主観的社会地位(自分がどの社会階層に属するかについての個人の主観的な認識)に分けられますが、この2つの社会地位が幸福度との関連性は明らかではありません。
本研究では、客観的社会地位(収入や学歴)および主観的社会地位(自分がどの社会階層に属するかについての個人の主観的な認識)と主観的幸福度の関連性を過去の研究からレビューしました。
方法
・文献検索はPsycINFOとGoogleで行った。
・合計で357個の研究、2,352,092人の被験者を対象に総合的に客観的社会地位、主観的社会地位、主観的幸福度の関連性を検討した。
結果
・主観的社会地位は客観的社会地位よりも幸福度に関連していた。
・しかし、主観的社会地位では収入は自分の身近の人と比較して上回っていることと幸福度が関連していた。
・また、学歴は幸福度との関連は低かった。
まとめ
・本研究では幸福度が主観的社会地位および客観的社会地位に関連があるのかを357個の研究をレビューして調べました。
・幸福度は客観的社会地位よりも主観的社会地位に最も関連していました。つまり、収入よりも自分が社会階層のどの位置に属するかについて認識することが幸福度の向上に繋がることを意味しています。
・また、収入が高い、低いでは幸福度にあまり関連はありませんが、自分の周囲と比較して収入が高いことが幸福度につながることがわかりました。つまり、いくら収入が高くても周囲が自分よりも収入が高ければ幸福度は低く、逆に収入が一般平均よりも低くても周囲が自分よりも低ければ幸福度は高いということになります。
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参考文献
- Diener, E., Oishi, S., & Lucas, R. E. (2003). Personality, culture, and subjective well-being: Emotional and cognitive evaluations of life. Annual Review of Psychology, 54, 403–425.
- Howell, R. T., & Howell, C. J. (2008). The relation of economic status to subjective well-being in developing countries: A meta-analysis. Psycho- logical Bulletin, 134, 536–560.