医療従事者・研究者用ノート

後大脳動脈損傷による半側空間無視の神経機構

半側空間無視は主に中大脳動脈損傷により注意経路に影響を与えて出現することが知られています。しかし、時折、後大脳動脈損傷でも半側空間無視が出現します。本日は、後大脳動脈損傷による半側空間無視の神経機構を調べた研究を紹介します。

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タイトル:The anatomy of spatial neglect after posterior cerebral artery stroke.

著者:Sperber C, Clausen J, Benke T, Karnath HO.

雑誌:Brain Communications. 2020;2(2):1-8.

研究の背景

一般的に知られている半側空間無視は中大脳動脈領域における損傷により発症することが明らかになっている。この中大脳動脈は2つの注意経路の主な供給動脈であり、前頭-頭頂-後頭ネットワークを形成していることが示唆されている 1)。また、最近では機械学習に基づく多変量病変-症状マッピングを用いた研究でもこの理論が指示されている 2)

しかし、中大脳動脈損傷の他に後大脳動脈領域の損傷においても半側空間無視が出現することが多く報告されている 3,4,5)。例えば、Mortら 6)は、下内側側頭葉、特に海馬傍回が空間無視と関連しているとの報告やParkら 5)による研究では、脳梁膨大部が空間無視の発生に関与していることを報告している。また、視床も空間無視の発生に重要な領域であることも報告されている 7)

これらの過去の報告にある知見を踏まえて、本研究では後大脳動脈損傷後の空間無視の神経相関を再検討することを目的とした。

本研究では、後大脳動脈損傷による半側空間無視の神経相関が前頭-頭頂-後頭ネットワーク(注意経路)とは別の解剖学的なネットワークを構成しているのか、あるいは同じネットワークの損傷なのかを調べることを目的とした。

方法

・被験者は50名の後大脳動脈損傷患者を対象に半側空間無視の有無を調べた。

・半側空間無視の評価はLetter cancellation task、Bells cancellation task、star cancellation task、Ota taskを実施した。

・脳構造画像は発症から平均2.16日後にMRIまたはCTのいずれかの方法で撮像した。

・解析はボクセルベースの病変症状マッピングと関心領域分析の両方を用いて半側空間無視の神経相関を調べた。

結果

・後大脳動脈損傷50名中、半側空間無視が認められたのは8名で全被験者の16%に相当した。

・図1は半側空間無視患者(図1B)とそうでない患者(図1A)の損傷領域を示している。

図1

半側空間無視の患者はそうでない患者と比較して損傷領域が広いことがわかった。しかし、先行研究で報告されている脳梁膨大部、海馬傍回、視床領域に損傷範囲の差は認められなかった。また、線形回帰分析を用いて半側空間無視を予測できるかを調べた結果、脳梁膨大部、海馬傍回、視床のいずれの損傷も半側空間無視を予測しなかった。

・図2は後大脳動脈損傷が空間無視の有無に関わらず、影響を受けるボクセル(領域)を示している。

図2

その領域は下側頭回、中側頭回、中後頭回、角回に認められた。さらに、上縦束と下前頭-後頭束も影響を受けることがわかった。つまり、注意経路を構成する領域および線維束が影響を受けることがわかった。

まとめ

・本研究は、後大脳動脈損傷による半側空間無視の神経相関を調べることを目的とした。

・結果は、先行研究で報告されている脳梁膨大部、海馬傍回、視床は半側空間無視を予測するものではなかった。しかし、後大脳動脈損傷による半側空間無視は下側頭回、中側頭回、中後頭回、角回、さらに上縦束と下前頭-後頭束に影響を与えることが明らかになった。

・つまり、後大脳動脈損傷は中大脳動脈損傷と同様に注意経路に影響を与えることで半側空間無視が出現していることが示唆された。

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参考文献

  1. Karnath H-O, A right perisylvian neural network for human spatial orienting. In: MS Gazzaniga, editor. The cognitive neurosciences. Cambridge: MIT Press; 2009. p. 259–68.
  2. Wiesen D, Sperber C, Yourganov G, Rorden C, Karnath H-O. Using machine learning-based lesion behavior mapping to identify anatomical networks of cognitive dysfunction: spatial neglect and attention. NeuroImage 2019; 201: 116000.
  3. Cals N, Devuyst G, Afsar N, Karapanayiotides T, Bogousslavsky J. Pure superficial posterior cerebral artery territory infarction in The Lausanne Stroke Registry. J Neurol 2002; 249: 855–61.
  4. Bird CM, Malhotra P, Parton A, Coulthard E, Rushworth MFS, Husain M. Visual neglect after right posterior cerebral artery infarction. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2006; 77: 1008–12.
  5. Park KC, Lee BH, Kim EJ, Shin MH, Choi KM, Yoon SS, et al. Deafferentation–disconnection neglect induced by posterior cerebral artery infarction. Neurology 2006; 66: 56–61.
  6. Mort DJ, Malhotra P, Mannan SK, et al. The anatomy of visual neg- lect. Brain 2003; 126: 1986–97.
  7. Karnath HO, Himmelbach M, Rorden C. The subcortical anatomy of human spatial neglect: putamen, caudate nucleus and pulvinar. Brain 2002; 125: 350–60. 

 

 

 

 


 

 

 

 


 

 

 


 

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投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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