
新薬ができるまでの過程
これまで多くの論文を紹介してきましたが、これらの研究成果はどのように私たちに応用されているのかを紹介したいと思います。一番わかりやすい例えが、薬ができるまでの過程だと思うので本日は薬ができるまでの過程を紹介します。
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簡単に言うと下記の過程で新薬が作られます。
基礎研究(2-3年)→非臨床試験(3-5年)→臨床試験(治験)(3-7年)→申請(1-2年)
このように一般的に新薬ができるまでは最低でも10年程度必要になってきます。
図1は世界中の医薬品メーカーが1年間に作った新薬の数を示しています1)。

縦軸が新薬の数、横軸は年になります。
例えば、2020年は世界で53個の新薬が作られたことになります。
このように多くても1年間で世界で作られる新薬は50個程度と言うことになります。
では、各過程を説明していきます。
基礎研究(2-3年)
ここでは対象となる病態のメカニズムを明らかにします。具体的には患者がどのような症状などで困っていて、その原因は何であるかを調べます。
これを明らかにしないとどの部分に薬を効かせたらいいのかわからなくなります。
次は、薬の候補となりそうな物質を探す過程です。つまり、薬のタネを探すことになります。
これまでに明らかになっている効果がありそうな物質などの分析や新しい物質の分析、検査を繰り返して候補の中からより効果の高い物質を選択します。
非臨床試験(3-5年)
ここでは基礎研究によって選択された物質を人工的に作成した細胞を用いたり、動物実験によって有効性と安全性を調べます。
薬が身体でどのように吸収・分解され、体内に広がっていくのかを調べる必要があります。また、難しい問題として身体の細胞は全て同じではありません。例えば、脳には血液中の異物を遮断するバリア(血液脳関門)があります。脳に薬を効かせたいのであれば、このバリアを通過するような物質である必要があります。
また、動物実験によって薬を投与したときの身体への影響や効果、副作用、効果時間などを調べ、人へ投与した時にどのような影響があるかを考えます。
臨床試験(3-7年)
ここでは動物実験によって得られた結果から人においても有効性や安全性が得られるかを調べます。これを一般的には治験と呼びます。
一般的に治験は3つの試験に分けられます。
第Ⅰ相試験
ここで対象となるのは健常者です。健常者に対して有効服用量や投与しても安全性が得られるのかを検証することが目的になります。
第Ⅱ相試験
ここでは少人数の患者が対象になります。少人数の患者さんに対して投与量や期間、効果や副作用などを調べることが目的になります。
第Ⅲ相試験
ここでは大人数の患者が対象になります。第Ⅱ相試験よりも実際に近い形で薬を投与し、有効性と安全性を調べることが目的になります。また、現在、臨床などで使用されている既存の薬との比較も調べることができます。
承認申請・審査(1-2年)
最後はこれまでの結果をまとめて厚生労働省に製造および販売の許可を申請します。厚生労働省の厳しい審査を経て新薬として承認されます。
このように新薬ができるまでかなりの期間を要することわかります。
治験(臨床試験)は薬だけでなくさまざまな研究の治験があります。
これに登録しておくだけでどのような治験(研究)があるのかがわかります。治験に参加することで治験協力費の支給、医師による無料での健康診断が受けられることもあります。また、健康食品や化粧品のモニターにも参加できるので登録しておくと便利です。
参考文献
The FDA approved 53 novel drugs in 2020, the second highest count in over 20 years. Nature review drug discovery. 2021.