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女性アスリートの飲酒が競技パフォーマンスに与える影響

男性はレジスタンス運動後にアルコール摂取するとその後の筋力の回復に影響することが明らかになっていますが、女性の場合は明らかではありません。本日は女性アスリートがジレスタンス運動後の飲酒によってその後の筋力回復に影響を及ぼすかを調べた研究を紹介します。

タイトル:Effect of alcohol after muscle‑damaging resistance exercise on muscular performance recovery and inflammatory capacity in women.

著者:Levitt DE, Luk HY, Duplanty AA, et al.

雑誌:European Journal of Applied Physiology. 2017:117(&):1195-1206.

背景

激しい運動を頻繁に行なっているアスリートや学生は、運動をしていない人に比べて過度のアルコール摂取(暴飲暴食)の割合が高いと報告されています1)。さらに、レジスタンス運動(筋肉に負荷をかける動きを繰り返す運動)を行なっている人は、中等度または激しい有酸素運動を行なっている人に比べて、酒乱(意識障害や人格が変貌するなど)になる可能性が高いと報告されています2)

女性アスリートでは、調査対象者の約半数(48%)が調査日から過去2週間以内に少なくとも1回の暴飲暴食をしたと報告しています3)。女性アスリートによって暴飲暴食のようなアルコール摂取は競技のパフォーマンスに影響を与える可能性が考えられます。その理由として、レジスタンストレーニングを行なっている男性の場合の調査では、レジスタンス運動後に中〜高容量のアルコールを飲むと、数日間のパフォーマンス回復が遅れることが報告されています4)。しかし、この効果を女性アスリートで調べた研究は2件のみで、どちらの研究もアルコールの影響を報告していません。

そこで本研究では、レジスタンス運動後のアルコール摂取が筋力回復に及ぼす影響について調べました。

方法

・対象は週2回以上のレジスタンストレーニングを行なっている女性13名(年齢21-34歳、身長162±6cm、体重62.2±7.6kg、体脂肪28.7±8.1%)であった。

・実験のタイムラインは図1に示す。まず、ベースラインの血液検査と筋力測定を実施、次にレジスタンス運動を行った後にアルコールまたはノンアルコール(プラセボ)を摂取する。その後、5時間後、24時間後、48時間後に血液検査と筋力測定を実施した。

図1

・筋力は大腿四頭筋の最大発揮トルクを調べた。

・レジスタンス運動は、バイオデックスを用いて膝関節60°で100回実施し、5分間の休憩を挟んで3セット実施した。

結果

・飲酒の有無に関わらず、24時間後ではベースラインと比較して膝関節伸展の筋力が低かった。しかし、48時間後では、完全に回復していた。

・血液検査もサイトカインの1つであるTNF-αやIL-8に影響を与えなかった。

まとめ

・本研究では、レジスタンス運動後のアルコール摂取が筋力回復に及ぼす影響について調べた。

・筋肉にダメージを与えるレジスタンス運動後にアルコールを摂取しても、その後の筋力回復には影響しないことがわかった。

・この知見は、男性におけるこれまでの知見(男性はレジスタンス運動後に飲酒すると筋力回復に影響)と異なることが示唆され、アルコールの運動回復への影響に関する精査を示唆するものである。

参考文献

  1. Moore MJ, Werch C (2008) Relationship between vigorous exercise frequency and substance use among first-year drinking college students. J Am Coll Health 56:686–690.
  2. Barry AE, Piazza-Gardner AK (2012) Drunkorexia: understanding the co-occurrence of alcohol consumption and eating/exercise weight management behaviors. J Am Coll Health 60(3):236–243.
  3. Nelson TF, Wechsler H (2001) Alcohol and college athletes. Med Sci Sports Exerc 33(1):43–47.
  4. Barnes MJ, Mündel T, Stannard SR (2010a) Post-exercise alcohol ingestion exacerbates eccentric-exercise induced losses in per- formance. Eur J Appl Physiol 108(5):1009–1014.

投稿者

kengo.brain.science@gmail.com

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