
身体無視の最新知見
本日は身体無視に関連する領域と神経線維(ネットワーク)を調べた研究(プレプリント)を紹介します。
タイトル:Disconnections in Personal Neglect.
著者:Bertagnoli S, Pacella V, Rossato E, et al.
雑誌:Research Square , Preprint (Brain structure and Function誌で査読中,2022年2月現在)
https://www.researchsquare.com/article/rs-1126909/v1
こちらの論文はプレプリントで現在、Brain structure and Function誌で査読中ですので概要の説明のみにします。
雑誌の搭載された際は書き換えます。
プレプリントとは、雑誌での査読を完了していない原稿のことでResearch Squareでは搭載する前の査読は行っていないため、このように原稿が読めるようになっています。
概要
身体無視(Personal neglect)とは、身体の知覚・表象の障害により、身体の反体側が存在していないかのような振る舞いをすることと定義される。
この臨床症状は、これまで主としてきた半側空間無視の一症状と考えられてきた。そのため、十分な研究は行われていない。
これまでの身体無視の研究は、皮質病変に焦点を当て、この障害が体性感覚や空間無視に関連しているという仮説に基づいている。
しかし、皮質病変だけでなく神経線維の損傷も関連しているという新たな仮説を立てた。
そこで本研究は、身体無視は皮質および皮質下の損傷だけでなく、神経線維の損傷も関連しているかどうかを検証した。
対象は、右半球損傷患者104名(そのうち68名が身体無視)を対象とした。
結果は、側頭葉(ヘシュル回領域)、視床腹外側核、脳弓を含む内側ネットワークの病変と関連していることが明らかになった。
このことは、身体無視が感覚運動処理、空間表象、自己情報の処理(エピソード記憶)間の収束に関与していることが示唆される。