医療従事者・研究者用ノート

パーキンソン病の二重課題の脳活動

本日は、パーキンソン病における二重課題遂行能力低下の原因を機能的磁気共鳴画像法を用いて調べた研究を紹介します。

タイトル:Impaired dual tasking in Parkinson’s disease is associated with reduced focusing of cortico-striatal activity.

著者:Nieuwhof F, Bloem BR, Reelick MF, er al.

雑誌:Brain. 2017:140(5):1384-1398.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28335024/

背景

私たちは歩きながら話したり、考えたり、物を持ったりすることを当たり前のように行なっている。これらは二重課題の一例であり、複数の動作を並行して行う能力が必要となる。パーキンソン病患者にとって二重課題の遂行能力低下は重要な問題となってくる1)。歩行と他の作業を組み合わせた場合、一方または両方の作業のパフォーマンスは低下することがさまざまな研究から明らかになっている2,3,4)。これらは転倒リスクの増加、自立度や生活の質の低下につながる。

パーキンソン病における二重課題の遂行能力の低下は2つの仮説がある。

1つは、ドーパミンの枯渇によって皮質-線条体並行回路の機能障害が生じることによって実行される運動過程と認知過程の重複が困難となる。

もう1つは、パーキンソン病のドーパミンの枯渇は背側-後部の被殻が最も影響を受け、腹側-前方の線条体は影響を受けにくいことが明らかになっている5)。背側-後部の被殻は、単純な運動の選択と自動運動に関与しており6)、その機能はパーキンソン病では損なわれている7)。そのため、運動系の結合性は、パーキンソン病やパーキンソン病のリスクが高いロイシンリッチリピートプロテインキナーゼ2(LRRK2)変異保持者では、影響を受ける後部から影響を受けにくい前部へとシフトすることが明らかになっている8)。しかし、このシフトが単純な運動選択と腹側-前方で処理される認知制御が重複し、運動と認知課題を同時に実行できない可能性がある。

これら2つの仮説のうち、どちらがパーキンソン病における二重課題障害を最もよく説明できるかを検討した。

方法

・被験者は19名のパーキンソン病患者と年齢をマッチさせた26名の健常者であった。

・運動課題は聴覚合図による足首の運動、認知課題はスイッチ課題(原著の図1参照)、および両課題を同時に行う二重課題を実施した。

・課題中に機能的磁気共鳴画像を用いて脳活動を測定した。

結果

・課題の結果は、パーキンソン病患者では健常者と比較して二重課題遂行時に運動課題、認知課題ともにエラーが多く認められた。

・脳活動では、二重課題においてパーキンソン病患者では健常者と比較して、腹内側-後背側の線条体が活動し、二重課題遂行能力の低下と関連していた。

まとめ

・本研究は、2つの仮説のどちらが二重課題障害を説明できるのかを検証した。

・二重課題遂行障害は、腹側-後部線条体の活動亢進と関連していることを示している。

・この線条体の活動パターンは、二重課題時に特異的に生じる隣接する線条体領域間の機能分離の喪失によって説明されるかもしれない。

参考文献

  1. Kelly VE, Eusterbrock AJ, Shumway-Cook A. A review of dual-task walking deficits in people with Parkinson’s disease: motor and cognitive contributions, mechanisms, and clinical implications. Parkinsons Dis 2012; 2012: 918719.
  2. Bloem BR, Grimbergen YA, van Dijk JG, Munneke M. The “posture second” strategy: a review of wrong priorities in Parkinson’s disease. J Neurol Sci 2006; 248: 196–204.
  3. Yogev G, Giladi N, Peretz C, Springer S, Simon ES, Hausdorff JM. Dual tasking, gait rhythmicity, and Parkinson’s disease: which as- pects of gait are attention demanding?. Eur J Neurosci 2005; 22: 1248–56.
  4. Wild LB, de Lima DB, Balardin JB, Rizzi L, Giacobbo BL, Oliveira HB, et al. Characterization of cognitive and motor performance during dual-tasking in healthy older adults and patients with Parkinson’s disease. J Neurol 2013; 260: 580–9.
  5. Bruck A, Aalto S, Nurmi E, Vahlberg T, Bergman J, Rinne JO. Striatal subregional 6-[18F]fluoro-L-dopa uptake in early Parkinson’s disease: a two-year follow-up study. Mov Disord 2006; 21: 958–63.
  6. Jankowski J, Scheef L, Huppe C, Boecker H. Distinct striatal regions for planning and executing novel and automated movement sequences. Neuroimage 2009; 44: 1369–79.
  7. Wu T, Hallett M, Chan P. Motor automaticity in Parkinson’s disease. Neurobiol Dis 2015a; 82: 226–34.
  8. Helmich RC, Thaler A, van Nuenen BF, Gurevich T, Mirelman A, Marder KS, et al. Reorganization of corticostriatal circuits in healthy G2019S LRRK2 carriers. Neurology 2015; 84: 399–406.

投稿者

tsujimoto.kengo8762@gmail.com

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